相続の基礎知識(8)
今回は「相続財産に借金等があるような場合」どうしたらよいか。
人が死亡すれば相続が始まります。
相続人は、死亡した方の財産を相続しますが、
土地・建物その他の財産のみならず、
ローン等の借入金などがあれば、それを返す義務も引き継ぎます。
そのような場合はどうしたらよいのでしょうか。
方法は二通りあります。
それは「相続の放棄」と「限定承認」です。
「相続の放棄」とは
自分は相続人としての一切の権利・義務を放棄することで、
はじめから相続人でなかったことになります。
したがって、相続財産も借金なども全て引き継ぎません。
相続の放棄は自分が相続人であることがわかったときから
3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
その3ヶ月の期間に相続財産を調査して、
明らかに自分にとって損だと思えば、
「相続放棄」の手続きをとることにより損害を被る事から免れます。
この3ヶ月を過ぎると相続人ということなり(これを単純相続といいます。)、
損害を被ることもでてきますのでくれぐれも注意が必要です。
民法915条1項
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから
3ヶ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認または
放棄をしなければならない。
今回もお読みいただきありがとうございました。
次回は、「相続放棄」の判例を紹介しますのでよろしくお願いします。
相続の基礎知識(9)
今回は相続放棄の判例について書きますので続けてお読みください。
また、今回は今までと書き方を変えてみましたので、
ご意見があれば遠慮なくお聞かせください。
これは、ある母親と一人娘の対話です。
母親 10年ほど前に勝手に家を飛び出して
行方の知れなかったお父さんが死んだと知らせがあったわ。
はっきりはわからないけど、サラ金からだいぶ借りていたみたいよ。
この家も借家だし、お父さんの財産は貯金もほとんどないし、
お父さんの借金を背負い込むなんてとんでもないわ。
娘 「相続放棄」すれば借金を背負わなくてすむわ。
相続開始後3ヶ月以内に「相続放棄」を家庭裁判所に申し出れば、
最初から相続人でないことになるから、
借金も何も受継ぐことはないわよ。
母 でも、サラ金から何か言われないかしら。
娘 大丈夫よ。サラ金からは何も言われることは無いわよ。
この話についての判例があります。
相続の放棄は、それにより相続債権者に損害を与えることを
目的としていたとしても、権利の濫用とならない。(最判S42.5.30)
こんな書き方はいかがでしょうか、ご意見をお待ちしております。
相続の基礎知識(9)の2
「相続の放棄」について、
母と娘の会話の続き
母 お父さんが死んだのは、もう2ヶ月前らしいけど、
今聞いたばかりなのに
後1ヶ月以内に相続の放棄をしなければいけないのかしら。
娘 自分がお父さんの財産を相続することが判ったときから
計算すればいいのよ。
だから、今から3ヶ月以内でいいのよ。
その間に、お父さんの財産状況を良く調べて、
借金のほうが多くて
受継いだら損しそうなときは相続放棄しましょうよ。
母 お父さんは、どうもまともに働いていなかったらしく、
サラ金のほかにもあちこちに借金を作っていたようよ。
だから、まず財産らしきものは残らないと思うけど、
もし、後から何か財産らしきものが出てきたときは
どうなるのかね。
娘 そう思う理由が認められれば、
財産があると判ったときから3ヶ月の期間が始まるみたいよ。
今の話にも判例があります。
被相続人に相続財産が全く存在しないと
信じる相当な理由が認められるときは、
熟慮期間は、相続財産の全部または一部の存在を認識したとき
または通常これを認識できるときから起算する。
(最判S59.4.27)
今回もお読みいただきありがとうございました。
では、また次回。